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2022.01.24更新 etc...

イエタテ

イエタテ1月号[フリーペーパー]に2年前にお引渡しをしたお宅が掲載されています。

今回は「暖かい家を建てるコツ」という特集ページに掲載されています。

このお宅はそもそも暖かい家を建てようというコンセプトではありませんでした。安いけどメンテナンス費がかかるとか、快適だけど光熱費がかかるとか、「どちらかをたてるとどちらかがたたない」ということのない、角のないバランスのとれた家がご要望でした。

そこで、家の大きさを必要最小限のコンパクトに納め「建築コスト」や「光熱費・維持費のランニングコスト」を下げ、そのコストで仕様UPをし、UPした仕様がさらにランニングコストを下げるという方向性をたてました。

その中で断熱性能をG2クラス[UA0.46]まで高めるという計画となりました。エアコンの間欠運転ではG1クラス[UA0.56]が、連続運転ではG2クラス[UA0.46]がコスパが高いと言われています。今回家自体をコンパクトに納めたため必然的にオープンな間取りになり、ルームエアコン1台での全館空調が見込めました。そのためG2クラスの断熱性能は最低限クリアしようとなりました。

このイエタテの取材を機に2年間住んでみてどうだったか聞いたところ、データを提供頂きました。

 

まず前提条件ですが、

〇延床面積28坪【南・西・北側日当たり良好、真南でなく南西向きの家】

〇4人家族【平日8:00~15:00不在】

〇ALL電化

〇太陽光発電なし

間取り

1F

2F

オープンな間取りで、収納・トイレ以外の扉は基本的に開けて生活されています。

食洗器は夜1回、洗濯機は夜1回、洗濯乾燥機は夜1回、365日使用されています。

 

ではデータを見ていきます。まず冬の室温データです。

上が1月の室温変化、下が1月18日の時間ごとの室温変化です。

エアコンは5:00~8:00/16:00~24:00の間欠運転で、1階のリビングのエアコンのみを使用しています。

グラフから分かるように概ね平均室温は20℃前後です。朝方が一番寒くなりますが17℃を下回ることはありません。5時にエアコンが入り起きる6:00には室温は19℃前後になることが多いとおっしゃっていました。

1Fと2Fの温度差もおおむね1℃前後で小さく保たれています。昼間は太陽がでていれば室温が上がるのでエアコンの連続運転の必要はなく、夜間は寝ている間も連続運転したほうが快適性は上がるそうですが、電気代と快適性のバランスからエアコンを切って寝る生活スタイルになったそうです。

1つ気になったのが換気だそうで、メンテナンス性、イニシャルランニングコストを含めたコスパから第3種換気を選んだが、外気が導入される給気口からの冷気が不快に感じることがあるそうです。断熱性能が上がると快適性になれこういった小さなところが気になるそうです。サーキュレーターで空気を攪拌し、軽減して上手に暮らしていらっしゃいました。この辺りは、住む方の価値観によって選択が分かれてくるところだと感じました。

 

次に夏のデータを見ていきます。

上が8月の室温変化、下が8月8日の時間ごとの室温変化です。

エアコンは24時間連続運転で、2階のスタディーコーナーのエアコンのみを使用しています。

グラフから分かるように概ね平均室温は27℃前後です。連続運転なので暖房よりも室温が安定しています。

1Fと2Fの温度差も2・3℃と暖房よりも大きいですが、小さく納まっています。冷房の冷気の方が重いため空気が動きずらく温度差が大きくなったのではないかと考えられます。

夏場に気になるのが太陽の日射だそうです。このお宅では冬の日射を取り込むため日射取得型のガラスを南面の窓に採用しています。夏になると、タープで日射を遮っていても窓の近くにいると多少暑さを感じるそうです。また建物が南北に長く西側の外壁面積が大きく、日当りがいいため、窓を小さくしていても15時ころ多少熱く感じることがあるそうです。この辺りは敷地条件が与える影響が大きいと改めて感じさせられました。1台のエアコンで冷房を行うことで負荷を集中させて除湿量を上げようと考えたましたが、小さなエアコン2台で各階ごとに冷房するほうがこういった細かい快適性には向いているかもしれません。今後の課題です。

ただ1台のエアコンでこの温度であればおおむね快適だと言えると思います。

 

では次は年間の光熱費です。

年間光熱費は約13万円です。洗濯乾燥が1日40~50円かかっているそうなので、年間約1.4万円かかっているとすると、洗濯乾燥がない場合は約12万円と言うことになります。ALL電化ですので光熱費はこれが全てになります。太陽光発電もありませんので、実際に使用した電気代です。この光熱費でこの住空間を維持できるのであれば納得頂けるのではないでしょうか?

ちなみに同規模[30坪]5人家族の社員の家[UA≒0.8]では同年の電気代129,502円/ガス代98,620円/合計228,112でした。

生活スタイルで光熱費は大きく変わるので一概に比較はできませんが、ある程度断熱性能が光熱費に与える影響があることが見て取れます。

 

どうでしたか?改めて数字で見るととても分かりやすいと思います。ちなみにシュミレーションソフトでこのお宅の光熱費を計算した場合189,400円になりました。シュミレーションはやはり前提条件が大事ですね。標準的な暮らし方で出された数字ですので実際の生活とは多かれ少なかれ必ず違います。

このお宅のように30坪前後でオープンな間取りを検討する場合断熱性能のUPは魅力的な手法だと思います。